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えっ!?オキシトシンを飲む?

当講座の前島裕子特任教授が中心に行った研究です。

オキシトシンは近年自閉症治療や、肥満治療として効果的として注目されている物質(ペプチド)です。私たちはこれまでにオキシトシンの注射や点鼻投与で食欲が抑制されて抗肥満効果があることを発表してきました。現在は 人に対しては現実的な投与方法として点鼻投与に注目が集まっていますが、私たちは今回オキシトシンを飲むことでオキシトシンの血中濃度を上げるという方法を確立しました。

本来、オキシトシンは口から飲むと胃酸の作用によって消化され分解されてしまいその効果はなくなってしまいます。

しかし、私たちは胃酸分泌ブロッカーであるオメプラゾールを先んじてマウスに経口投与しておき、2時間おいてからカプセルに充填したオキシトシンを飲ませるという方法だと経口投与でもオキシトシンが効果を発揮することを発見しました。胃酸分泌を抑制することなくオキシトシンだけを飲ませたマウスでは食欲が抑制されませんでしたが、オメプラゾールとオキシトシンカプセルの組み合わせで飲ませたマウスではオキシトシン血中濃度が上昇し、食欲が抑制されました。この時脳においても特定の部位で神経細胞の活性化が確認されました。

この方法ではオキシトシンの胃酸による分解を防ぎ小腸より血中にオキシトシンを移行させると考えられます。

今後、オキシトシンの臨床応用を考える上で「内服できるオキシトシン」には限りない可能性が秘められています。

今後非侵襲的、安定な投与方法の確立を目指して人を対象とした臨床応用に向けた研究を続けます。

Oral oxytocin delivery with proton pump inhibitor pretreatment decreases food intake

Maejima Y, Horita S, Otsuka A, Hidema S, Nishimori K, Shimomura K.

Peptides. 2020 Jun;128:170312. doi: 10.1016/j.peptides.2020.170312. Epub 2020 Apr 13.

PMID: 32298773

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